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カルナの豆知識とは?
全国の総合病院を中心に
約1,830施設に配置されている
医療/健康情報誌です。
●健康でより充実した生活を送って頂くための、健康/医療の話題を中心とした無料情報誌です。医療機関を訪れる外来患者を付き添いの方を始め入院患者やお見舞いの方にも読んでいただいています。
●全国の総合病院を中心に約1,830施設の受付カウンター待合室に配置しているフリーマガジン(無料雑誌)です。(入院施設のある総合病院45%、クリニック等15%、錠剤薬局/介護施設等40%)(2014/11月現在)
●医療機関側の課題であった、衛生・管理・コスト面の問題をクリアした雑誌ですので、設置していただいている病院の看護士さんや医師など病院職員にも好評です。
●読者にとって有意義な情報を正しく伝える幅広い編集内容ですので、ご自宅へ持ち帰り家族の皆さんで読んでいただいています。
中島 利博 東京医科大学教授
東京医科大学 医学総合研究所 教授
キルギス共和国 名誉領事 国家顧問
日本リウマチ学会指導医・評議員
第8回日本線維筋痛症学会 学会長
1995年 第8回日本内科学会 奨励賞受賞
2001年 日本医師会医学研究助成金 受賞
2002年 日本リウマチ学会 学会賞受賞
2005年 ノバルティス・リウマチ医学賞 受賞 など
特許の名称(最新状況) | 出願番号※( )内は出願日 (公開、公告、登録のうち最新のもの) |
出願人 |
---|---|---|
滑膜細胞タンパク質 (特許取得済) |
特許第4035151号(公開H19.3.29) | 中島利博 |
滑膜細胞タンパク質 (特許取得済) |
特許第4035152号(公開H19.4.5) | 中島利博 |
SYNOVIAL CELL PROTEIN (特許取得済) |
特許7,632,507(H22.12.15) | 中島利博 |
SYNOVIAL CELL PROTEIN (特許取得済) |
特許01272293.0 | 中島利博 |
タンパク質のユビキチン化抑制剤 (特許取得済) |
特許5008932 | 中島利博 |
体重調節作用を有する物資をスクリーニングするための方法 (特許取得済) |
特許第5868403号 | 中島利博 |
妊娠率向上のため
ミトコンドリアの卵子注入研究が国内でスタート
高齢出産になる女性の妊娠率向上などを目指して、本人の卵巣から採取したミトコンドリアを卵子に注入する自家移植治療を実施し、2人が妊娠したと、大阪市の不妊治療施設が29日発表した。 米国企業が中心に開発し、「卵子の若返り」と呼ばれて一部で注目されている手法で、国内での実施は初めて。
今回実施を公表した「IVFジャパン」によると、この方法は、腹腔(ふくくう)鏡手術などで患者の卵巣にあるとされる「卵子前駆細胞」からミトコンドリアを抽出し、体外受精の時、卵子に精子とともに注入するというもの。
ミトコンドリアは細胞の中でエネルギーを作る小器官で、「良質なミトコンドリアを注入することで卵子の質を改善し、体外受精の成功率を高める」という。
ミトコンドリアと卵子の若返り―――今、不妊治療の現場で、ミトコンドリアによる卵子の質を向上させる治療が注目されています。 ミトコンドリアというと、学生時代に生物の授業で「生き物のあらゆる細胞の中に存在する物質で、エネルギーの産生に関わる」などと習ったことがあるかと思います。 そんな物質が、なぜ不妊治療に関わってくるのでしょうか。
細胞のエネルギーの源であるミトコンドリアは、
卵子の活性化にも役立つ?
ミトコンドリアと不妊治療の関係を知る前に、まずミトコンドリアの働きを確認しましょう。
私たちが健やかにイキイキと毎日活動していくためには、食べた物が栄養となり、エネルギーとなって正常に活用されることが重要となります。
ただし体中にエネルギーを行き渡らせるには、体内の複雑なメカニズムがスムーズに連携し働くことが必要です。
ミトコンドリアはそのメカニズムの重要な部分である“細胞へのエネルギー供給”を担っているのです。
肌、心臓、肝臓、脳、関節、目、卵巣、精巣など人間のありとあらゆる器官は細胞からできています。 ミトコンドリアが衰えるとそれぞれの器官の細胞の活性が低下し、老化、肥満、疲労、肌荒れ、不妊、うつなどにつながると言われています。 ミトコンドリアが正常に働いて細胞にエネルギーを与えるということは、すなわち全身に活力を与えるということ。もちろん卵巣内の卵子の活性にもかかわってくるのです。
不妊の原因!?卵子も年齢と共に老化する
あらゆる細胞に存在するミトコンドリアですが、その数は一つの細胞内に平均数百~数千個だと言われています。
しかしヒトの細胞の中でもまさに命の源である卵子には、約5万~40万のミトコンドリアが存在しています。
ところが細胞内のミトコンドリアは加齢とともに数が減り、働きも衰えていきます。加齢に伴うさまざまな不調や老化の原因は、ミトコンドリアの衰えが原因であると言っても過言ではないのです。
当然のことながら卵子内のミトコンドリアも加齢によって減少し、卵子の活性も下がってしまいます。
これが“卵子の老化”と呼ばれているものです。20歳代の不妊症率6%に対し、40歳代では64%にもなると言われており、卵子の老化は不妊に直結していることがわかります。
妊活を考えている人は、卵子のミトコンドリアのケアも充分に考えていくことが必要なのです。
さらに近年話題となっている男性不妊にも、ミトコンドリアの活性低下が関わっているのではないかと言われています。
ミトコンドリアは男性側の生殖細胞である精子にも存在し、その活動の際のエネルギーを供給しています。ミトコンドリアが変異したマウスは、精子の数も減少し、受精に必要な運動能力も失われてしまうことが明らかになっているのです。
年齢と共に妊娠率・生産率は低下。一方で流産率は急増する。
卵子の中のミトコンドリア。
ミトコンドリアは卵子にも精子にも存在する。
ミトコンドリアの老化を促進させる遺伝子があった!
ミトコンドリアはなぜ衰えてしまうのか、それを防ぐ方法はないのか……
不妊だけでなくあらゆる病気の予防やエイジングケアのために、世界中の研究者が研究を続けていましたが、その答えはなかなか見つかりませんでした。
しかし1998年、日本の中島利博教授が、関節リウマチ患者の滑膜細胞内に新しい遺伝子を発見したことから、研究が大きく進展します。
中島教授が見つけて命名した遺伝子「シノビオリン」 (シノビオは滑膜という意味)は、関節リウマチの画期的な治療薬につながる大きな成果であるとされ、最年少で日本リウマチ学会賞を受賞しました。
また中島教授はある時、シノビオリンの働きを抑えたマウスはいくらエサを与えても肥満にならず標準体重のままということに気が付きました。
「シノビオリンは、リウマチや関節炎改善以外にも、肥満など他の疾患にも何か関係があるかもしれない」
そう考えた中島教授は研究を進め、ついにシノビオリンがミトコンドリアの働きを衰えさせる元凶遺伝子であることを突き止めたのです。
シノビオリンを抑えてミトコンドリアを活性化させると
細胞のエネルギー代謝が正常に!
中島教授が肥満にならないマウスに与えたもの――それは中島教授自身が約400万にも及ぶ成分から探し出した、シノビオリン抑制剤でした。これらの成分は私たちに身近な食成分から構成されており、安全性も高いものです。中島教授はこのシノビオリン抑制剤を用いて、シノビオリンが引き起こすさまざまな症状の改善の研究に着手しました。
まずはシノビオリンと肥満の関係。中島教授は、肥満になったマウスの細胞内にシノビオリンが増加していることを確認しました。やはり肥満とシノビオリンとは密接な関わりがあったのです。シノビオリン抑制剤を投与したマウスはエサをどれだけ食べさせても肥満にならないのは、ミトコンドリアの働きを衰えさせるシノビオリンをシノビオリン抑制剤が抑えることで、ミトコンドリアのエネルギー代謝を正常に保つという理由からでした。
通常のマウスの体重は増加しているが、シノビオリン遺伝子を持たないマウスの体重は減少している。
シノビオリン抑制剤を与えたマウスは、カロリー消費・スタミナに関わる基礎代謝もアップ。
通常のマウスの体重は増加しているが、シノビオリン遺伝子を持たないマウスの体重は減少している。
シノビオリン抑制剤を与えたマウスは、カロリー消費・スタミナに関わる基礎代謝もアップ。
卵子のエイジングケアだけでなく、脂肪減少、
更年期症状改善、関節のケアなどにも期待!
シノビオリンは、卵子のミトコンドリアの劣化にも関わっていると考えられています。 卵子の活性を向上させ、妊娠しやすくさせるために、シノビオリンを抑制していくことは非常に意味があるでしょう。 またシノビオリンはリウマチや関節炎に関わる遺伝子ですが、関節炎マウスにシノビオリン抑制剤を投与すると症状が改善、 また関節リウマチ患者を対象とした試験でもシノビオリン抑制剤が滑膜細胞の増殖を抑制して症状を改善することが確認されています。 シノビオリンは、肺線維症や肝硬変、動脈硬化など炎症が原因となる疾患にも関わっていると言われており、 シノビオリン抑制剤がこうした不調にどのような効果をもたらすのかという研究も進められています。 シノビオリン抑制剤は、妊娠を望む方々だけではなく、すぐそこまで迫っている超高齢化社会の救世主となる、スーパーエイジングケア成分と期待されているのです。
20~50歳代の男女20人にシノビオリン抑制剤を4週間摂取してもらい、摂取前と摂取後に血液検査をしたところ、中性脂肪減少などの効果が見られました。
編集後記
晩婚化が進むにつれ、初産の平均年齢も30歳を超えて、「妊娠の難しさ」に直面している人が増えています。
そんな折り、「ミトコンドリアによる不妊治療」の報道を目にしたことから、ミトコンドリアによる卵子のエイジングケアの取材へとつながっていきました。
ところがミトコンドリアの最先端の取材を進めていくと、不妊だけでなくリウマチや関節炎、肥満、老化など、実に多岐にわたる症状にミトコンドリアが関わっていることを知りました。
しかもそのミトコンドリアの劣化を促進させる遺伝子があり、それを発見したのが日本人研究者だということも大きな驚きでした。
卵子をはじめ細胞の老化は遺伝子に組み込まれているのだからしょうがないと考えられてきましたが、その遺伝子をコントロールすることによって改善が見込めるというのは画期的な発見です。
さらにそれはリスクもある遺伝子治療などではなく、身近な食べ物由来の成分を摂取することによって叶えられるというのですから、こんなに素晴らしいことはありません。
妊活を考えている方、もっと若々しく過ごしたいと思っている方、加齢による症状にお悩みの方は、ぜひご参考になさってください。
カルナの豆知識は患者サービスの一環として、全国約1,830箇所の医療機関に無料設置している情報誌です。
こちらの紙面の方も機会がございましたらぜひお手にとっていただけたら幸いです。今後共よろしくお願い致します。
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